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TAIPEI

「台湾民主主義の父」李登輝氏の追悼式

洪敬哲

台湾と日本の交流、関係深化に大きく貢献された台湾の前総統:李登輝氏が2020年7月30日午後7時24分(日本時間午後8時24分)に逝去されました。享年98歳でした。


台湾総統府は台北賓館を一般開放し、追悼会場と李登輝氏の生い立ちの紹介やメッセージボードを設置しています。民衆にとっては李登輝氏の偉大さを再認識できる機会であり、台湾の歴史の1ページに触れることができます。

李登輝氏は台湾で最初の民主選挙により選出された総統で、台湾を民主国家へ導く礎を築いた人物です。日本メディアは李登輝氏のことを好意的に報道していますが、台湾では一部の年配者にはあまり好意的に捉えられてない人物です。
彼の人生は矛盾の中で偉業を成し遂げた偉大な人物です。

筆者は彼の行った過去の偉業や、賛同しかねる事柄に関係なく、歴史的事実として、彼が総統に在任した12年は、日本と台湾の良好な関係構築に大きく寄与したと思います。その偉業だけでも我々が追悼会場へ参列する意義があり、台湾の歴史の中で最も偉大な李登輝総統への哀悼を表すことができます。

台湾の文化資産「台北賓館」:日本統治代の「台湾総督官邸」

Wikipedia によると台北賓館は台湾の日本統治代(明治34年、1901年)に建設され、当時は台湾総督官邸の名でした。総督の住居以外に迎賓館としての役割もあり、VIPや皇族の接待にも使用されました。計16代の総督の住居として使用されました。現在はしっかり管理された状態で定期的に一般開放されています。

施設情報

住所:台北市中正区黎明里凱達格蘭大道1号
開放時間:毎月第一土曜或いは日曜の8:00〜16:00
アクセス:MRT台大醫院駅1号出口を出て、正面が台北賓館
公式Webサイト:https://www.mofa.gov.tw/tgh/default.html

李登輝前総統の追悼現場より



台北賓館へ入るとすぐにメインの建物が目に入ります。庭園を含めてまさに日本統治時代特有の日本式とヨーロッパ式の融合した建築となっています。このように場所に来ると、李登輝前総統の人生がいかに日本と深く関わってこられたのかを感じることができます。
入り口には李登輝前総統の来歴や功績を記したボードが設置されており、追悼に来た老若男女皆が、李登輝前総統の人生を認識することができます。



台北賓館の建物内に入ると、名曲「千の風になって」のメロディーが聞こえてきます。この曲を聴いていると李登輝前総統が、皆に伝えたかった精神を感じることができます。実際この曲は李登輝前総統がとても愛した曲です。李登輝前総統はよく公の場で最愛の妻 曾文恵 女史と一緒にこの歌を歌っておられました。

李登輝前総統は、若い頃常々「人は死後どのようになってしまうのか」とういうことばかり考えていたと仰っておりました。彼は16歳の高校時代にある言葉を記しました。「人はなぜ死ぬのか?」当時彼は、人は死んだらそこで終わり、最後は自然に帰って、二度と戻っては来ないと考えていました。そして「千の風になって」という歌と出会い、死について、より深く悟るようになりました。李登輝前総統はとうとう悟りを開きました。重要なのは生前にどれだけ自分の全てを発揮し、物事を成し遂げ、すべての物や人に貢献し、最後は千の風となるのです。
彼は最後の機会にある遺言を遺していました。
自分の死後、遺骨は台湾の最高峰「玉山」へ散骨して欲しいと。そしては彼は生前の望み通り、風になりました。

筆者が追悼会場へ到着すると、荘厳な雰囲気の李登輝前総統の祭壇が目に入りました。祭壇の奥には日本庭園が広がり、それを目にした時に、今この瞬間は台湾の歴史の中の大切な一瞬であり、一つの節目なのだと実感しました。

そのまま進むと、奥に李登輝前総統へ向けたメッセージボードが目に入ります。このボードには一般人からのメッセージはもちろん、多くの政治家、李登輝氏と交友のあった著名人からのメッセージもあります。李登輝前総統とは親子のような関係にあった蔡英文現総統からのメッセージもあり、もちろん見ることができます。

最後に、台湾に来れず追悼ができなかった皆さんへ360°カメラで少しでも追悼の思いを共有できればと思います。
台北賓館に行くと、台湾の歴史に思いを寄せて、改めて台湾に多大な貢献をされた李登輝前総統へ尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになりました。どうか安らかにお休みください。謹んでご冥福をお祈りいたします。

より詳しい李登輝前総統については、こちらの李登輝友の会のサイトをご覧ください。:http://www.ritouki.jp/

洪敬哲

我是台中人。曾前往日本打工度假過一年。 希望把台日之間有趣的文化差異,最新資訊,同步分享給台日兩邊的人,促使國際間的交流。 喜歡的台灣料理是「大腸麵線」,日本料理是「生雞蛋拌飯」! 台灣常去的地方是「中友百貨的誠品書局」。日本最常去的地方是ジャンカラ跟神社(朱印章蒐集)。

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