台湾と日本は、地理的な位置、歴史、映画、漫画、ゲーム、エンターテイメントなどの面で密接な交流がある国です。台湾の多くの文化は日本の影響を深く受けており、両国間の文化的な違いはさほど大きくないと思っていました。しかし、実際に日本に一年間住んでみると、台湾人の知らない日本の習慣があまりにも多いことに気づきました。そこで今回は、「台湾人が日本に来て初めて知る、台湾と日本の10個の大きな違い」をテーマに2つの記事で整理しました。この連載を通して、お互いの国の理解が深まることを期待しています。
1. 賃貸物件の違いについて
日本に来て最初に考えることは、家を借りることです。日本ではアパートを借りるには不動産会社を通さなければいけません。家具はないので、すべて自分で購入しなければなりません。家賃、仲介手数料、敷金などの基本的な費用に加え、礼金、火災保険、鍵の交換費用などがかかるので、初期費用はかなり高くなります。
しかし、台湾ではほとんどの賃貸物件に基本的な家具が付いているので、インテリアにこだわりがなければ、最低限の荷物だけ持って入居することが可能です。また、台湾では大家さん本人と直接交渉することがほとんどで、家賃、保証金、賃貸期間、家の状態の確認などの打ち合わせさえすれば、入居することが可能です。日本に比べれば、台湾で家を借りるのはとても簡単なことなのです。
また、日本では賃貸の契約期間はだいたい2年間で、2年後に更新する場合は更新料を追加で支払わなければならず、更新しない場合は家具をすべて処分して空の状態で返却しなければなりません。それに対して台湾では、契約期間満了後に更新したい場合、大家さんと直接交渉することができます。家具が老朽化で破損した場合は、大家さんが修理をすることになるので、費用も大家さんが支払うことになります。また、契約を更新しない場合、契約期間中に自ら追加購入した家具は引き取ってもらう交渉をすれば、退去時に処分の手間がかからないのです。
2. 職場での文化の違い
時間厳守の基準
職場の時間厳守は、全世界共通の基本的なマナーです。しかし、日本で仕事をしてみて、台湾と日本では時間厳守の基準が少し違うことに気づきました。台湾では、状況に応じて時間厳守の定義が異なります。例えば、台湾の会社で8時に勤務開始の場合、8時ピッタリにオフィスに到着すれば時間通りとみなされます。しかし、日本の職場では最低でも15分前に到着することがマナーとなっているようです。ある日、業務開始の5分前に会社に着くと、先輩から「どうしたんだ?」と心配されました。
同僚との関係
台湾人は、初対面の友人や同僚とSNSで交流し、連絡を取り合うことを好みます。SNSを通じて、同僚同士がお互いのプライベートを知ることができ、仕事帰りにプライベートで会ったり、親しい間柄になることもあります。日本人の場合は、プライバシーを重視する人が多く、仕事と生活の境界線がはっきりしているので、知り合ったばかりの人とSNSのアカウントを交換するようなことはあまり多くないようです。また、日本人は相手の性格を理解するために血液型を聞く傾向がありますが、台湾人は相手との相性を判断するために星占いを好む、という興味深いことにも気がつきました。
3. 食文化の違い
食文化はその国の文化の延長線上にあると言われているため、台湾人と日本人の違いは食文化にも現れています。
食習慣
日本人の食習慣は礼儀作法の文化を重んじています。ゆっくりと噛んで食べ、料理は小さく繊細に盛り付けられているものがほとんどのようです。また、日本では冷たいお弁当を食べる習慣があります。理由としては、お弁当は加熱すると匂いが強くなり、周囲の人に影響を与えてしまうからなんだそうです。もう一つの理由は、日本の食事には漬物や果物、サラダがよくついているので温めるのに適していないことも挙げられます。
台湾人の場合は全く異なり、温かい料理を好む人が多いですし、特に湯気がでるほどアツアツの料理は最高です!たとえ、急いでいる時でも、温めてもらうことはあります。台湾のお弁当は、おかずの多さよりも、ボリュームが多いこと、温かい料理であることが好まれます。また、台湾では24時間営業のお店が多く、朝5時から昼まで営業している朝食専門店があったり、夕食後から始まる夜市の文化も賑わっています。日本では、台湾と違い朝食の店が少なく、夜遅くまで営業している店も居酒屋以外にはほとんどないため、食事の選択肢は少ないと感じます。
もうひとつ、日本に来て初めて知った大きな違いがあります。 日本のお店では、氷の入った冷水が出されるのが一般的ですが、台湾のほとんどのお店では、食事の前に温かいお茶が提供されます。理由は主に、食事を待っている間に胃を温め、空腹の不快感を和らげるためとされています。
スイーツの好み
日本の茶道には長く深い歴史があり、日本人は通常、砂糖やミルクを加えず、茶葉そのものの風味を生かしてお茶を飲みます。お茶には甘めの和菓子やケーキが添えられることが多く、これも台湾とは真逆なんです。台湾にも高山でできた高山茶を味わう文化がありますが、多くの人は味付けされたお茶を好み、砂糖やミルク、タピオカなどを加えて味を引き立てる人が多いです。その代表格が、世界中で親しまれているタピオカミルクティーです。台湾人は甘いお茶を飲むのが好きなので、茶菓子には甘くて脂っぽい味はあまり選びません。そのため「甘くないお菓子」は台湾の女の子に人気なんです!
4. 運転の習慣の違い
運転習慣
日本は左側通行、台湾は右側通行、というのはよく知られている違いだと思いますが、それ以外で驚いた違いがあります。日本ではクラクションの音がほとんど聞こえないことと、どの道を歩いても歩行者が絶対的に優先されることです!日本では違反する人が少ないためか、クラクションを鳴らすことはほとんどありません。また、歩行者に道を譲るという考え方が根付いていて、信号がなく人が少ない交差点でも、車は歩行者を見つけると止まって先に行かせるみたいですね。
一方、台湾では昔から歩行者優先が叫ばれているものの、実際には交差点や横断歩道でのみ、信号に従って歩行者に道を譲るというのが現状です。信号のない交差点や人里離れた道路で減速せず、信号がないからスピードを出しても大丈夫だと思っているクルマは多いです。そのため、台湾では歩行者が道路を横断する際に、安全を確保するために立ち止まって、左右から来る車がないことを確認してから進むということを、無意識の内に行なっています。なので、歩行者が車に道を譲るのが普通なのです。 日本人が台湾に来たときに道路を渡る際は十分気をつけましょう!
台湾の文化に定着しているオートバイ
もうひとつの違いは、日本ではオートバイが非常に少なく、多くの人が自転車を使って移動していることです。台湾では、ほぼ1人1台バイクを持っています。なぜなら、台湾では公共交通機関があまり発達しておらず、公共交通機関で行くには非常に困難な場所が多いことが主な理由です。
バイクは素早く移動できるだけでなく、台湾の気候は一年中温暖で平地で雪がないため、ツーリングに適しています。また、台湾は比較的小さな島なので、オートバイで島を一周しようと思えば2日程度で済みますし、その気になれば24時間で一周できる人もいます。自転車であればとても疲れますし、利便性は低いですよね。ですから、台湾の車道や駐車場は、主に自動車やバイクのために計画されており、どこにでも自転車が止まっている日本とは大違いです。
5. 乗車の習慣の違い
運転の習慣の違いに加え、日本では公共交通機関を利用する際に守らなければならないマナーがたくさんあり、これを体験するまで、台湾とこれほど違うとは思いもよりませんでした。
バスに乗る場合
台湾では、バス停の標識の前に立っていても、勝手に止まってくれません。バスが来るのが見えたら、停車する前に手を上げてバスを止め、運転手に意思表示をしなければなりません。特に通勤の時間帯は人が多く満員になりやすいので、立ち乗りが認められています。降りるバス停がわからない場合、バス停に近づいたときに運転手に降車を促してもらうと良いです。
日本の場合は、運転手は乗車する人がいるかどうか判断するためにバス停で必ず停車してくれるので、手を上げて合図する必要はありません。バスに乗った後、運転手は乗客が席にしっかりと座るのを待ってから出発します。台湾でバスに乗るのとはわけが違うので、初めて日本に行った時は、その違いにいろいろと苦労しました…(笑)
タクシーに乗る場合
タクシーも全く違う体験でした。 各ドライバーはきちんと身だしなみを整え、制服と白い手袋を着用しています。タクシーに乗ると自動的にドアが開くので、手動でドアを開け閉めする必要がありません。
日本のタクシーはいろんな色がありますが、台湾ではタクシーの色は1色しかなく、すべて黄色に統一されています。なので、遠くから黄色い車が見えたらタクシーだとわかるようになっています。主な理由としては、台湾では多くの人が道路に手を伸ばして乗車の意思表示をするので、黄色だと目立ちやすいからだそうです。駅やホテル、空港など、人が多く集まる場所にだけ、タクシー乗り場が設置され、人が並んで乗ります。タクシーに乗ると、乗車時間が長い場合、ほとんどの運転手が乗客とおしゃべりをし、退屈しないように配慮してくれます。最後に大きな違いとして、台湾ではタクシーに乗るときも降りるときも、乗客が自らドアを開けなければなりません。降りてからドアを閉め忘れると、またドアを閉めるよう呼ばれます(笑)。
電車に乗る場合
日本では、車内で隣の乗客の迷惑にならないように、おしゃべりをしない、電話をしない、ビデオを再生しない、化粧をしないなどマナーがたくさんありますが、ホーム内での飲食はOKです。
一方、台湾では電車によってルールが異なります。都市部の地下鉄では、乗車エリアに踏み込むと飲食が禁止され、違反すると罰金もあります。高速鉄道と台湾鉄道においては、自由に飲食ができますが、車両には指定席と自由席があり、もちろん運賃も異なります。自由席以外はどの列車も同じ運賃で、区画もありません。 もし、自分が買った席に他の人がすでに座っていたら、肩を叩いてすぐに席を譲るように注意することができます。
まとめ
今回はまず、台湾と日本で短期間の生活や旅行で遭遇しやすい、賃貸、職場、飲食、運転、乗車の習慣の違いを簡単に紹介しました。
次回は長期間の生活で影響しやすい生活習慣の違いを紹介したいと思います!